SNSで流れてきた青みがかったフレンチブルドッグ。まだら模様の子や、薄紫のような毛色の子。同じ犬種とは思えないほど印象が違って、思わず手が止まりますよね。
ただ、フレンチブルドッグの珍しい色と呼ばれるものには、血統の扱いがまったく違う2つのグループが混ざっています。値段の差も、健康の話も、そこを分けないと意味がつながりません。
そこでこの記事では、ネットでよく見る12色を、血統を管理している団体が公開している2つの案内と1つずつ突き合わせて仕分けました。血統証明書の書き方が2026年に変わったことや、掲載中の子犬337頭を毛色で数えた内訳まで書いています。
- フレンチブルドッグの珍しい色12種を、血統の扱いで3つに仕分けた一覧
- 犬種標準に名前があるのはフォーンとブリンドル、それにホワイトの斑だけということ
- ブラックやグレー&ホワイトなど、標準外として名前が挙がっている7つの毛色
- ブルーマールとタイガーブリンドルが「同じ珍しい」ではない理由
- 掲載337頭を毛色で数えた内訳と、レアカラーが絞り込みに出てこないこと
- 血統証明書の「×」印が2026年4月から「NSC」表記に変わったこと
- 迎える前にブリーダー・ショップへ確かめておきたいこと
フレンチブルドッグの珍しい色は犬種標準に名前がない毛色を指す

フレンチブルドッグの珍しい色とは、ブルー・ライラック・イザベラ・マールのように、犬種標準の毛色の記述に名前が出てこない色を指して使われていることが多い言葉です。ペットショップやSNSでは「レアカラー」と紹介されます。
ところが同じ「珍しい色」という言い方で、タイガーブリンドルやハニーパイドのように、標準の中におさまりながら数が少ないだけの色も紹介されています。この2つは血統証明書での扱いが正反対です。
先に全体像を置いておくと、フレンチブルドッグの毛色は「標準に名前がある色」「標準外として名前が挙がっている色」「どちらにも名前が出てこない色」の3つに分かれます。2026年9月13日にジャパンケネルクラブの2つのページを確認した時点では、次のような形でした。
| グループ | 代表的な色 | 血統証明書の毛色欄 |
|---|---|---|
| 標準に名前がある | フォーン、ブリンドル、それぞれにホワイトの斑(パイド) | そのまま記載される |
| 標準外として名前が挙がっている | ブラック、ブラック&ホワイト、グレー&ホワイトなど7色 | 標準外を示す記号が付く |
| どちらにも名前が出てこない | ブルー、ブルータン、ライラック、イザベラ、マール系 | 登録時の表記次第で変わる |
3つ目のグループがいちばんややこしいところです。標準外だと名指しされているわけではないのに、標準の毛色にも入っていない、という宙ぶらりんの位置にあります。
標準に名前があるのはフォーンとブリンドル、それにホワイトの斑
犬種標準の毛色の欄に書かれているのは、フォーン、ブリンドル、及びそれぞれの毛色にホワイトの斑があるもの、の3通りだけです。フレンチブルドッグの原産国はフランスで、この記述はFCIスタンダードNo.101にもとづいています。
ホワイトの斑が広く入ったものが、日本で「パイド」と呼ばれている毛色です。つまり、よく見かける4分類(ブリンドル・フォーン・パイド・クリーム)のうち、標準の言葉としてそのまま載っているのは2色ということになります。
同じ欄にはもう一文、見落とされやすい記述があります。すべての毛色において鼻は常にブラックであり、ブラウンやブルーではない、という条件です。
ブルーやライラックの子は、被毛だけでなく鼻や目のふちの色素も薄くなります。毛色の名前だけを見ていると気づきませんが、鼻の色という別の条件からも標準から外れていく形になります。

鼻の色は写真だと飛んでしまいがちなので、気になる子がいたら鼻先が写った1枚を別に見せてもらうと分かりやすいですよ。
「レアカラー」という言葉は2つの意味で使われている
レアカラーという言葉は、「出会う数が少ない色」と「血統の基準から外れる色」の2つの意味で使われています。どちらも珍しいと紹介されますが、意味は別ものです。
前者はタイガーブリンドルやハニーパイドのように、標準の中におさまったまま数が少ない色です。血統証明書の毛色欄に特別な印は付きません。
後者はブルーやライラック、マール系のように、標準の毛色から外れる色です。繁殖のときに注意が必要とされ、血統証明書の書き方も変わります。
探している色がどちらの側にあるのかを最初に決めておくと、このあとの値段や健康の話がつながって読めます。ここだけは先に切り分けておいてください。
数が少ないことと、体が弱いことは別の話
数が少ないことと体が弱いことは別の話で、標準から外れる毛色だからといって、その子が病気だという意味にはなりません。犬種標準は「その犬種らしい姿」を決めたもので、展覧会での評価や繁殖の方針を判断するための基準だからです。
いっぽうで、色素が薄い被毛やマール系では、報告されている健康上の話があります。これは後半で分けてお伝えします。
大事なのは、標準の話と健康の話を同じ土俵に乗せないことです。混ぜてしまうと、「珍しい色は全部だめ」か「気にしなくていい」の両極端になってしまいます。
フレンチブルドッグの珍しい色12種を血統の扱いで仕分けた一覧

ネットで「珍しい色」「レアカラー」として名前が挙がるのは、大きく12色です。標準の中で数が少ない3色、標準外として名前が挙がっている2色、どちらにも名前が出てこない7色に分かれます。
| 毛色 | 系統 | 血統の扱い | 見た目の特徴 |
|---|---|---|---|
| ①タイガーブリンドル | ブリンドル | 標準に名前がある | 地色に虎柄のような縞がくっきり出る |
| ②ハニーパイド | パイド | 標準に名前がある | 白地に淡いはちみつ色の差し色が入る |
| ③ホワイト(単色) | 単色 | 条件つきで許容 | ほぼ全身が白。眼瞼と鼻が黒いことが条件 |
| ④ブラック | 単色 | 標準外として名前がある | 縞のない黒。濃いブリンドルと見分けにくい |
| ⑤グレー&ホワイト | 希釈 | 標準外として名前がある | 灰色と白の組み合わせ |
| ⑥ブルー | 希釈 | どちらにも名前がない | 黒が薄まった青みがかった灰色。鼻も青灰色 |
| ⑦ブルータン | 希釈+タン | どちらにも名前がない | ブルーの地に眉や足先へ茶色が入る |
| ⑧ブルーフォーン | 希釈 | どちらにも名前がない | フォーンに青みが重なり全体が淡く見える |
| ⑨ライラック | 希釈 | どちらにも名前がない | ブルーとチョコレートが重なった薄紫がかった色 |
| ⑩イザベラ | 希釈 | どちらにも名前がない | ライラックよりさらに淡いベージュ寄り |
| ⑪ブラックタン | タン | どちらにも名前がない | 黒地に眉・胸・足先へ茶色のタンが入る |
| ⑫ブルーマール | マール | どちらにも名前がない | 地色にまだら模様。青い目になることもある |
表にすると、「珍しい」という一語の中に3つの立場が同居していることが見えてきます。順番に中身を見ていきます。
犬種標準の中で数が少ない色(3色)
タイガーブリンドル・ハニーパイド・ホワイト単色の3つは、標準の枠の中にある色です。血統証明書の毛色欄に、標準外を示す記号は付きません。
タイガーブリンドルと呼ばれているのは、明るい地色に黒い縞が強く浮き出た見え方のことです。ブリンドルそのものは定番の毛色なので、枠の中の個体差という位置づけになります。
ハニーパイドは、白をベースに薄い茶色が乗るタイプを指します。人気の高い見た目ですが、登録上は「パイド」と入ったり「ホワイト&フォーン」と入ったりして、書き方が一定しません。
ホワイト単色だけは少し事情が違います。犬種標準では、眼瞼及び鼻がブラックであれば許容されるとしたうえで、難聴のリスクがあるため繁殖には適さない、と条件が添えられています。
標準外として名前が挙がっている色(7つの表記)
ジャパンケネルクラブは、2018年9月1日以降の登録分について7つの毛色表記を標準外として扱っています。ブラック、ブラック&ホワイト、ホワイト&ブラック、クリーム&ブラック、フォーン&ブラック、グレー&ホワイト、ホワイト&グレーの7つです。
ただし、この案内には2つの但し書きが付いています。読み飛ばすと誤解しやすいところです。
- 濃いブリンドルは黒っぽく見えることがあるが、「ダーク・ブリンドル」などで登録すれば標準内になる
- 「〜&ブラック」が顔まわりの黒(ブラック・マスク)を指しているなら、「クリーム,ブラック・マスク」の形で登録すれば標準内になる
つまり、見た目が黒いから自動的に標準外になるわけではありません。どの言葉で登録されたかによって扱いが変わる、という仕組みです。
どちらの案内にも名前が出てこない色(7色)
ブルー・ブルータン・ブルーフォーン・ライラック・イザベラ・ブラックタン・マール系は、標準の毛色にも標準外の7表記にも名前がありません。SNSで「レアカラー」と呼ばれる子の多くが、ここに入ります。
名前がないというのは、認められているという意味ではありません。標準の毛色がフォーンとブリンドル、それにホワイトの斑に限られ、鼻は黒と決められている以上、どれも標準の記述からは外れます。
どれも、もとの黒や茶の色素が薄く出ることで生まれる色だとされています。ライラックは青みと茶色が混ざった薄紫寄り、イザベラはそれよりもさらに白っぽいベージュ寄りと説明されますが、写真1枚では区別がつかないこともあります。
同じ子がお店によってライラックと書かれたりイザベラと書かれたりするのは、このためと考えられます。呼び名で確かめようとせず、血統証明書の毛色欄を見せてもらうほうが確実です。
珍しい色のブルーマールとタイガーブリンドルは中身が違う

ブルーマールとタイガーブリンドルは、同じ「珍しい」でも別の枠に置いて考えるのが基本です。前者は繁殖の組み合わせに注意が必要とされる色、後者は標準の中の見え方の呼び名だからです。
検索したときにいちばん名前が出てくる3つの色について、それぞれ何が論点になっているのかを分けて見ていきます。
マールは毛色ではなく交配の組み合わせが論点になる
マール系で注意されているのは色そのものではなく、マールを持つ犬同士をかけ合わせることです。この組み合わせで生まれた子(ダブルマール)に、聴覚や視覚の障害が報告されています。
片方だけがマールであれば、この重なりは起きません。見るべきところが色ではなく両親の掛け合わせだと分かっていると、どこを質問すればいいかがはっきりします。
興味深いのは、血統証明書の新しい書き方を案内するページに載っている記載例です。そこに挙がっているのが「CHOCOLATE MERLE,TAN & WHITE(NSC)」という毛色で、チョコレート・マール・タンが重なった表記になっています。
例として選ばれるくらいには、マールを含む登録が実際にあるということです。気になる子がマール系なら、両親のどちらがマールなのかを最初に確かめてください。
ちなみに、この模様は犬種によって呼び方が変わります。ダックスフンドで「ダップル」と紹介されている柄も、もとをたどれば同じ話です。
両親の組み合わせに気をつけるという考え方も共通しているので、ミニチュアダックスのシルバーダップルの記事とあわせて読むと立体的に見えてきます。
タイガーブリンドルは縞の出方を指した呼び名
タイガーブリンドルは独立した毛色ではなく、ブリンドルの縞がはっきり出ている状態を指す呼び名です。血統証明書の毛色欄には、ブリンドルとして記載されます。
縞の出方は成長とともに変わります。子犬のころは全体がぼんやりして黒っぽく見えても、骨格ができて筋肉がついてくると縞が浮かび上がってくることがあります。
「タイガーブリンドル希望」で探すと出会いにくいのは、そもそも登録上の区分ではないからです。ブリンドルの子を実際に見て、縞の出方で選ぶ形になります。
ハニーパイドは表記が割れやすい
ハニーパイドは、血統証明書の毛色欄が1通りに定まらない毛色です。標準の言葉が「ホワイトの斑があるもの」という書き方なので、地色をどう読むかで表記が変わるためです。
生後まもない時期は差し色がほとんど見えず、成長するにつれて薄茶色の斑が出てくることもあります。子犬のときにクリームと判断された子が、あとからハニーパイドと呼ばれるのはこのためです。
白い被毛に薄い色が乗るタイプという点では、長毛のフラッフィーも「標準にない見た目」として同じ議論になります。生まれ方の仕組みはフラッフィーフレンチブルドッグの記事にまとめています。
フレンチブルドッグの人気色は掲載頭数で見ると4色に集中している

実際に流通しているのは、ブリンドル・クリーム・フォーン・パイドの4色にほぼ集中しています。子犬の販売情報に掲載されていた337頭を毛色で数えると、次のような内訳でした。
| 毛色の絞り込み | 掲載頭数 | 全体に占める割合 | 血統の扱い |
|---|---|---|---|
| ブリンドル(黒・ブラック) | 112頭 | 約33% | 標準に名前がある |
| クリーム | 97頭 | 約29% | 標準の色名には無い |
| フォーン | 64頭 | 約19% | 標準に名前がある |
| パイド | 37頭 | 約11% | 標準に名前がある |
| ホワイト | 9頭 | 約3% | 条件つきで許容 |
| 5つの合計 | 319頭 | 約95% | — |
| 掲載全体 | 337頭 | 100% | — |
上位2色で全体の6割を超えます。人気順としてパイドやブリンドルを1位に挙げる紹介も見かけますが、この4色が中心であることは変わりません。
レアカラーは毛色の絞り込みの外側に置かれている
絞り込みに用意されていた毛色は5つだけで、ブルーやライラックの項目はありませんでした。そのかわり、ブルー・グレー系で絞り込むページには27頭が並んでいます。
5つの合計は319頭で、掲載全体の337頭とは18頭の差があります。ブルー・グレー系の27頭とも数が合わないので、色の分け方が一部で重なっていると考えられます。
ここから見えてくるのは、レアカラーが「探しにくい場所」に置かれているということです。ブルーやライラックで探す人が販売ページにたどり着きにくいのは、導線そのものが定番色を前提に作られているからだと思っています。
クリームは説明のされ方が食い違っている
クリームについては、「認められていない」という説明と、登録の表記として案内されている実態が食い違っています。掲載頭数では2番目に多い色なので、迷いやすいところです。
よく見かけるのは、ジャパンケネルクラブはクリームのフレンチブルドッグを認めていない、という説明です。いっぽう毛色の取り扱いの案内では、標準外の7表記にクリーム単体は入っておらず、「クリーム,ブラック・マスク」として正しく登録するように、と案内されています。
犬種標準の毛色がフォーンとブリンドルである以上、クリームは明るいフォーンの範囲として扱われていると考えるのが自然です。ただ、書かれ方が割れている以上は断定せず、証明書の実際の表記で確かめるのが確実だと思っています。
模様の呼び名は毛色とは別のもの
片パンチやエプロンといった呼び名は毛色ではなく模様なので、標準外の対象にはなりません。珍しい柄として紹介されることが多いので、毛色と混ざりやすいところです。
- 片パンチ…左右どちらかの目のまわりにだけ色が乗っている状態
- エプロン…のど元から胸にかけて白が広がっている状態
- ソックス…四肢の先だけ白くなっている状態
- ブラックマスク…口まわりから目のあたりまでが黒い状態。フォーンの子で見かけます
このうちブラックマスクは、標準外の7表記の但し書きにも出てきます。「フォーン&ブラック」と登録するのではなく「フォーン,ブラック・マスク」と登録すれば標準内、という形です。
珍しい色の値段は掲載頭数の少なさで大きく動く

珍しい色は高くなる傾向がありますが、「珍しい=必ず高い」とは言い切れません。掲載頭数が少ない色ほど、たった1頭の価格で平均が大きく動いてしまうためです。
定番色の相場から見ていきます。毛色別の平均価格として公開されている数字は、ブリンドルが約24万円、フォーンが約26万円、パイドが約28万円、クリームが約29万円でした。
この4色はどれも60頭前後から110頭以上が掲載されているので、平均が1頭で動くことはあまりありません。おおむね20万円台後半から30万円台が目安になります。
母数が少ない色ほど平均はあてにならない
ブルーやライラックの平均価格は、掲載が数頭しかない状態で計算されていることがあります。そこに高額の1頭が入るだけで、平均は何十万円も跳ね上がります。
ブルー・グレー系の27頭は、全体337頭のうち約8%です。定番色の4分の1以下しか並んでいない計算になるので、平均値そのものを相場として受け取らないほうが安全です。
「この色だから何万円」と決め打ちせず、気になる子ごとに価格の根拠を聞くほうが確実です。相場はあくまで出発点として使ってください。
値段が上がる仕組みは希少さだけではない
珍しい色の価格が上がるのは、希少性そのものよりも問い合わせが集中するからです。SNSで話題になった色に人が集まると、そのぶん価格も動きやすくなります。
フレンチブルドッグはもともと、繁殖にかかる手間と費用が大きい犬種としても知られています。そこへ希少色の需要が乗ることで、定番色との差が広がっていく形です。
いっぽう、月齢が進んだ子は価格が下がっていくのが一般的です。掲載されてからの期間によっても数字は動きます。
販売情報を見るときに確かめておきたいこと
販売情報では、色の名前より先に血統証明書の毛色欄がどうなるかを聞いておくと安心です。お店が使っている呼び名と、登録される表記は別だからです。
グレーと書かれていても、登録では「グレー&ホワイト」として標準外の扱いになることがあります。逆に黒く見える子が「ダーク・ブリンドル」で標準内ということもあります。

価格より先に毛色欄の話ができると、ていねいに答えてくれるお店かどうかも一緒に見えてきますよ。
珍しい色のフレンチブルドッグで知っておきたい健康の話

珍しい色のフレンチブルドッグで知っておきたい健康の話は、色素が薄い毛色とマール系で報告されている脱毛と難聴の2つです。すべての子に必ず起こるわけではありませんが、迎える前に知っておきたい内容です。
ここでお伝えするのは一般的な情報で、診断ではありません。気になる様子があるときは、動物病院で相談してください。
色素が薄い被毛で報告されている脱毛
淡い色の被毛だけが抜けていく脱毛が、色素の薄い毛色で報告されています。被毛の中の色素の分布が不均一になり、毛がもろく折れやすくなることで起こると説明されています。
出はじめる時期は生後6か月ごろから3歳ごろとされ、頭や足先など刺激を受けやすい場所から進むことが多いようです。遺伝が関わるため、今のところ決め手になる治療法はないとされています。
好発犬種として名前が挙がるのはドーベルマンやイタリアン・グレーハウンドなどで、フレンチブルドッグは中心ではありません。ただ、淡い被毛を持つ犬に見られるという性質は共通です。
ホワイト一色と難聴の話
難聴のリスクは、犬種標準そのものに書かれています。ホワイト一色の個体について、眼瞼と鼻が黒ければ許容されるとしたうえで、難聴のリスクがあるため繁殖には適さないと添えられています。
白い被毛と聴こえがつながるのは、色素をつくる細胞が耳の奥のはたらきにも関わっているからだと説明されています。全頭に起こるものではないので、可能性として頭に置いておく程度で十分です。
暮らし始めてから、名前を呼んでも顔を上げない、掃除機の音に動じない、といった様子が続くことがあります。しつけが入っていないと判断する前に、動物病院で耳のほうを診てもらってください。
毛色で性格が決まるという裏づけは見つからない
毛色によって性格が決まるという裏づけは見つかりませんでした。色ごとの性格を紹介している記事もありますが、根拠が示されていないことがほとんどです。
犬種標準に書かれている性質は、社交的で活発、遊び好きで独占欲が強く鋭敏、というものです。毛色ごとの違いは書かれていません。
気質はその子ごとに違いますし、どんな家で、どんなふうに関わられて育ったかの影響も大きいです。「この色は穏やか」という言い方は、話のきっかけくらいに受け取っておけば十分だと思っています。
毛色に関係なく共通して気をつけたいこと
毛色の心配に気を取られていると、この犬種に共通する注意点を見落としがちです。珍しい色かどうかにかかわらず、毎日の暮らしで効いてくるのはこちらです。
- 気温…マズルが短いので、呼吸で熱を逃がすのが得意ではありません
- しわ…折り目の内側に湿気がこもるため、こまめに拭いてあげたいところです
- 体重…重くなるほど、呼吸にも足腰にも負担がかかります
- おなか…食べるスピードやごはんの内容でガスがたまりやすくなります
どれも日々のケアで軽くできる部分があります。心配な様子が続くときは、動物病院で相談してください。
珍しい色の血統証明書は2026年4月からNSC表記に変わった

標準外の毛色に付いていた「×」印は、2026年4月1日の登録分から「NSC」という表記に変わりました。第303回理事会で2025年10月29日付けに決議された改訂です。
まだあまり知られていない変更なので、最近の血統証明書を見て戸惑う方もいるかもしれません。意味は同じで、書き方が変わっただけです。
証明書のどこに、どう書かれるか
表面では毛色のうしろに(NSC)が付き、裏面にその意味が書かれます。案内に載っている記載例は次のとおりです。
| 場所 | 記載 |
|---|---|
| 表面 | 毛 色 CHOCOLATE MERLE,TAN & WHITE(NSC) |
| 裏面 | (NSC)= NON-STANDARD COLOR 犬種スタンダードで認められていない毛色ですので、繁殖には充分留意してください。 |
以前は毛色の前に「×」が付いていたので、位置も変わっています。証明書を見るときは、毛色欄のうしろまで目を通してください。
NSCは繁殖への注意であって、病気の表示ではない
NSCが付いていても、その子の健康に問題があるという意味ではありません。裏面に書かれているのも、繁殖には充分留意してください、という一文です。
犬種標準は「その犬種らしい姿」を決めたもので、展覧会での評価や繁殖の方針を判断するための基準です。家族として迎えて暮らすぶんには、毛色そのものが問題になるわけではありません。
見るべきなのは、その子が健康に配慮された環境で育てられてきたかどうかです。表記は判断材料のひとつであって、結論ではありません。
2026年1月の改正にこの犬種は入っていない
2026年1月からスタンダード外になる毛色の公告に、フレンチ・ブルドッグは1つも入っていません。対象になったのは、ダックスフンド、ポメラニアン、ミニチュア・ピンシャー、イタリアン・グレーハウンド、プードルの5犬種です。
この公告はFCIの犬種標準の改正にともなうもので、犬種ごとに標準外となる毛色が一覧で示されています。フレンチブルドッグについては、2018年9月の案内が今も生きている形です。
「2026年から扱いが変わった」という説明を見かけたら、変わったのは表記の書き方であって、対象の毛色が増えたわけではないと考えてよさそうです。
珍しい色のフレンチブルドッグを迎える前に確かめること

珍しい色を検討するときは、色の名前より先に、どんな繁殖と管理をされてきた子かを確かめてください。ここが確認できれば、色の選択はずいぶん落ち着いたものになります。
2025年の犬種別の登録頭数では、フレンチ・ブルドッグは141犬種のうち7位で9,578頭でした。全体の302,530頭に対して約3%なので、出会う機会そのものは決して少なくありません。
問い合わせのときに聞いておきたい7つのこと
次の7つは、問い合わせのメールでも見学の場でもそのまま使えます。答えにくそうにされたら、その反応も判断材料になります。
- 父犬と母犬の毛色は何で、この子の証明書には何と入りますか
- 父母のどちらかにマールの因子はありますか
- 遺伝子の検査はしていますか。書面を見せていただけますか
- 同腹の子で、聴こえや目のトラブルが出た子はいましたか
- 直近の健康チェックはいつ、どこまで診てもらいましたか
- お迎えのあと体調を崩したら、どこまで相談に乗っていただけますか
- この金額の内訳を教えていただけますか
とくに1番と2番は、レアカラーの子を検討している方には欠かせません。ていねいなブリーダーさんほど、こうした質問に具体的に答えてくれます。
見学のときに見ておきたいところ
見学のときに見ておきたいところは、写真では分からない5点です。実際に会うと、色素の出方や反応のしかたがよく見えてきます。
- 鼻先・まぶたのふち・肉球の色が、写真で見たときより薄くないか
- 名前を呼んだときや物音がしたときに顔が動くか
- おなかや内股に赤みやフケ、毛が薄い部分が出ていないか
- 生まれてからの日数に対して、体が小さすぎないか
- 父犬か母犬に会わせてもらえるか、育っている場所を見せてもらえるか
小ささを売りにされている子が、実は体重が増えていないだけということもあります。心が動いたときこそ、その日は決めずに家で一晩考えてみてください。
里親・保護犬という迎え方もある
この犬種は、里親を待っている子も少なくありません。保護団体や自治体の譲渡会で、フレンチブルドッグの募集が出ていることがあります。
大人になった子を迎える良さは、体つきも気質ももう見えているところにあります。手探りの時間が短いぶん、暮らしのイメージが立てやすくなります。
私なら、色の名前から入らずに「この子と暮らせるか」から考えます。そのほうが選択肢も広がりますし、あとから気持ちがぶれにくいと思っています。
フレンチブルドッグの珍しい色に関するQ&A

レアカラーとは何を指す言葉ですか
決まった定義のある言葉ではなく、お店やSNSで「数が少ない色」を指して使われている呼び名です。犬種標準の中で数が少ない色と、標準に名前がない色の両方に使われています。
同じ言葉でも中身が違うので、気になる色がどちらなのかを確かめるのが第一歩です。判断の決め手になるのは、血統証明書の毛色欄です。
いちばん珍しい毛色はどれですか
いちばん珍しい毛色を掲載数で見るなら、ブルー・グレー系がもっとも少ない部類に入ります。337頭のうち27頭で、定番のブリンドル112頭とは4倍以上の差がありました。
ライラックやイザベラ、マール系にいたっては、絞り込みの項目そのものがありませんでした。枠の中で数の少ない子を探したいなら、ハニーパイドや縞の強いブリンドルを見ていく形になります。
ブルーマールは短命というのは本当ですか
必ず短命だと断定できる情報は見つかりませんでした。注意されているのはマール同士の交配で、この組み合わせで生まれた子に健康上の欠陥が出やすいとされています。
リスクの中心は毛色そのものではなく、両親の組み合わせです。検討するときは、どちらの親がマールなのかを必ず確認してください。
黒い子は標準から外れるのですか
単色のブラックは、2018年9月1日以降の登録分について標準外として扱われています。ただし、濃いブリンドルは黒っぽく見えるだけで標準内です。
その場合は「ダーク・ブリンドル」として登録すれば、標準内の扱いになります。見た目ではなく登録の表記で決まるところです。
子犬のときの色は成長で変わりますか
子犬のときの色は、育つにつれて濃さや出方が動くことがあります。ブリンドルはとくに分かりやすく、生まれたてはただ黒く見えていた子に、あとから縞が浮いてくることがあります。
証明書に書かれた言葉と、目の前の子の印象がずれて感じられるのはそのためです。書き換えられるものではないので、登録された言葉のほうを基準にしてください。
毛色で病気のなりやすさは変わりますか
色素が薄い毛色では淡い被毛だけが抜ける脱毛が、ホワイト一色やマール系では難聴などが報告されています。ただし個体差が大きく、毛色だけで健康状態が決まるわけではありません。
気になる様子が見られたら、毛色のせいと決めつけないでください。早めに動物病院で相談するのがいちばん確かです。
まとめ:フレンチブルドッグの珍しい色は表記で確かめる
フレンチブルドッグの珍しい色について、種類の仕分け・人気色・値段・健康・血統証明書の扱いを整理してきました。要点をまとめます。
- 犬種標準に名前があるのはフォーンとブリンドル、それにホワイトの斑だけ
- 珍しい色は「標準の中で数が少ない色」と「標準に名前がない色」に分かれる
- 標準外として名前が挙がっているのは7つの表記で、但し書きで標準内に戻るものもある
- 掲載337頭の内訳では定番4色が約92%を占め、ブルー・グレー系は27頭だった
- 標準外の毛色は2026年4月1日の登録分から「NSC」表記になった
- マールのリスクの中心は毛色ではなく両親の組み合わせ
珍しい色そのものが悪いわけではありません。私が気をつけているのは、色の呼び名で判断せず、血統証明書に何と書かれるかまで聞いておくことです。
今日できることがあるとすれば、気になっている子の証明書に何と入るのか、父母はどんな色なのかを尋ねてみることです。返ってくる答えで、その色の見え方は変わります。
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